東京の昔 : 吉田健一

Posted on 2009年01月17日 | コメント (0) | トラックバック (0)

吉田健一は茂の息子で太郎の伯父である。父が外交官で首相なものだから、大学はケンブリッジである。卒業後、何があったかは知らないけれど、おそらく文学の道に進もうということで父に勘当され、英文学者として多数の訳書や英文学評論がある。
その分野でも有名だが、僕のような飲み食い散らかしでも知られている人で、何点かそれに関する著作もある。

また、小説も書いている。「東京の昔」は数少ない小説のうちのひとつで、現在は絶版である。いつ買ったのかわからないが、自分で買ったもので、おそらく大出張時代に先のブックオフで買ったのだと思う。

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その頃なので買って 10 年ぐらい前の本なのだがずっと読んでいられなかった。吉田健一は文体に大変特徴があり、句読点が異常に少なく、ひとつの文章が大変長い。引用したいが、あえて控えるけれども "吉田健一 東京の昔" でググればけっこう出てくる。
その本を先週の初めから、何とはなしに読んでいる。おそらく年末年始に妻の実家に行ったのが影響しているのだと思う。主人公が本郷の辺りに住んでおり、そこでの出来事を淡々と長々と書いているのだが、妻の実家は本郷ではないけれども、新宿と文京区の際々にあるので、よく行くようになって 10 年ぐらいたってようやく土地勘がわかるようになってきたのである。最初の数ページで、主人公は本郷で飲み、その後神楽坂に移動して朝まで飲むのだが、どこからどこに行くのか、どうやっていくとどのぐらいの時間がかかるのかわかるようになった。ようやく自分が本に近づいてきたのである。

タイトルのとおり、東京の話を書いているわけだが、土地勘以外にも、10 年前に自分が感じられなかったことが、30 代半ばになり、少し年をとったことによって、感じられようになったように思う。それに押されて、自分が住む土地について、自分が働く土地についてそれぞれどういうスタンスであたればいいのか、考えられるようになった。ちょっと前には、こういうことが無かったと感じている。でなければ、わざわざ日記に書くまでもない。

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