千倉町に入ったのは14:00ごろ。カンで国道を走っていたら、「大阪屋」の看板があったので行ってみる。これは、お土産を買う予定なので、ちょっと下見をかねて寄ってみた。なお、国道沿いの講談社の保養所の近くにある。 大阪屋を見たら良さそうだったので、明日、また訪れることにした。 まだチェックイン時間まで時間があったので、少し千倉周辺をクルマでブラブラしてみる。 狭い国道の左右に地元の小さい店舗が並ぶ、ときどき、新しい建物で、地元スーパーチェーンの店舗が現れる。全体的に漁業の町という雰囲気がある。建物やその周辺に置いてあるモノの金属部分が錆びている。 やがて、道の左右が開けると、今日、宿泊する「 バードランド 」が見えた。でも、すぐにはチェックインをしない。まだ15:00まで時間がある。 すこし先にある「 潮風王国 」という千倉の道の駅に行くことにした。ここはなかなか充実していた。鮮魚も売っているけれど、総合的にお土産を扱っているし、なかなか楽しい。 あと、この道の駅だが、役所っぽさが無いことが特徴だと思う。全国に道の駅が充実するようになって(最近、ブームが去ったかなという感じもしないではないが)、しばらくになるが、一般的な営利目的の建物にしては無味乾燥なところがある。 千倉町は町をあげてのことなのかもしれないけれど、センスが良い建物が多い。これについては後で書こうと思う。 雨も降ってきた。15:00もすぎてチェックインOKの時間になったので、Birdlandに行くことにする。 「 シーサイド・イン・バードランド 」は、ペンションである。冒頭に書いたとおり、僕にとって初めて泊まるペンションである。 花畑の中の高台に、茶色く少し大きめの2階建ての建物だった。 この千倉周辺では、こういった建築物に気を使っているらしく、「 黒木実建築研究室 」という建築事務所が設計したものが多い。Birdlandもそうだけど、他には「 ポルトメゾン・ルームス 」「 C-CABIN 」といったペンションも、こちらの建築事務所が扱った建物である。なかなかセンスがよく、カラっとしたデザインである。 国道から直角に曲がり、坂を下りて、かなり急角度に曲がって入る農道の先にある。バードランドに至る道は他にもあるのだが、あまり目立たない。しかも狭い。 駐車場は2箇所あり、建物に近いところは小型車のみ、遠い方は大型車の駐車ができる。なお、遠いといっても、壊滅的に遠いわけではない。 近い方にクルマを留め、バードランドに近づく。そしてドアをあける。誰もいないのだけれども、、、、、しばらく待っているとオーナーさんがいらっしゃった。中野渡淳さんである。 自分が宿泊予約をしている者であることを名乗ると、ようこそと歓迎していただいた。 今回、なんでまたペンションに泊まろうと思ったか。理由がある。 僕は東京在住でよく旅行に行くけれど、今まで、大型温泉旅館とか、地方都市中心部のホテルだったりした。地方都市のホテルに泊まって地元の飲み屋で旨いものを喰いながら飲り、地方のジャズスポットにいって飲るということをするのだが、これはジャズに触れられるのでなかなか楽しいけど自然に親しめない。 では、ということで、温泉などに行くと自然に触れられるけど文化が足りない。何かの本で、都会で仕事をする人がストレスを解消するには、自然に親しむのが最も効率がいいということを読んだことがあるのだ。 まあゼイタクな話だけれども、好きな音楽があって、自然のある旅行ができないかなあと、ずっとしばらく考えていたのだが、おそらくペンションみたいなところに泊まればできるんじゃないかなと思っていたのだけれど、このペンションっていうものが、どうも僕に腑に落ちない部分があるのである。 いろいろなペンションがあるとは思うが、スキー宿が多く、スキーをやるっていう、目的が明確な時は、宿が多少コケても、楽しいと思う。僕はスキーをやらないし、どっちかっていうと宿に早くチェックインして、周辺をブラブラしたり、閑散としたロビーをうろうろしたり、風呂で2回、からだをあらったり。とにかく、滞在するのが楽しい人なのだ。 さてさて、初めてのペンション。けっこう緊張しているのだが、歓迎していただいてホッとした。 今回が初めてだったけど、ペンションを楽しむにはオーナーさんと趣味が合うことなのではないかと僕は思っていただが、コレは正解だったと思う。バードランドを選んだのもオーナーさんがジャズ好きだからだ。訪れる前に、自分がジャズが好きであることをそれとなく伝えておいたのだが、それだけに、歓迎していただいた。 パブリックスペース(居間)がガラス戸ごしに見える。女性voのCDがかかっているのが聴こえる。Stacy Kent(ステイシー・ケント)のようである。 僕たちの部屋が205号室であることを教えていただき、鍵を受け取る。部屋は2階である。 階段をあがり部屋に入る。このペンションはメルヘン調ではない。シンプルな壁にシンプルな内装である。シャワールームが各部屋に用意されている。ベッドにごろり。 窓の外を見る。あいかわらず天気が悪いけど、この部屋からの眺めはよい。向こうの方に南房総の太平洋がしぶきを上げている。 部屋から出て、居間に行くことにした。居間の入り口に自販機があり、僕はバドワイザを、家内はモルツを買う(因みに、ビールが飲みたければ、ペンションの方に頼んでハートランドを頼むこともできる)。 居間には暖炉もあるけれど、石油ストーブがある。猫が寝ている。 プシッと音を立ててビールのフタをあける。ゴクリ。ふー。あー。久しぶりの旅行だなあ。 やがてオーナーさんがいらして話かけてきた。歓迎していただいてうれしく思う旨を伝えた。 オーナーさん:「こちらのペンションはどうやってご存知になりましたか?。誰かから聞いたとか?」 僕:「いえ。今回、ジャズ好きのオーナーさんがいるペンションということで検索エンジンで検索してココがヒットして」 ・・・・・中略 僕:「今回、ペンションというものを初めて利用するのですけど、着くまで、ホント、ドキドキでした」 オーナーさん:「いや、もう。ペンションって、ホント、行って見るまで、スリルとサスペンスの世界で。行ってみないとわからないですよ。」 ペンションオーナーさんが仰られるのだから、ますます安心である。これでイッキに楽しくなった。 この後、JBL + Macintosh(≠Apple)のそれはもうモノ凄いオーディオセットで、Carmen Mcraeの「The Great American Song Book」を聴かせていただいた。あとの曲は自分で選んで聴いた。高級なオーディオだが、客側で自由にいじらせてくれるのが嬉しい(家内はドキドキだったらしい。僕がよくこの手のお店付属の器具をよく破壊するのをよく知っているからだ)。 17:30ぐらいまでBobby Lyle(key)がスタンダードをやったアルバムなどを聴いてみたりしてすごす 夕食の時間が近づいているとのことで、いったん部屋に引き上げることとする。ちょうどこの季節はハイ・シーズンにあたるらしく満室で、僕らがくつろいでいる居間も食事スペースとして必要になるからである。 部屋に戻り、食事の時間 18:30 までベッドでゴロリとする。妻がTVで相撲を見る。妻は江戸っ子なので巨人ファンで相撲好きなのだ。妻もいつのまにか寝ていたらしく、朝青龍が負けたことを知らなかったらしい。 時間が来たので階段を下りて食堂に向かう。すでに始めているお客さんもいた。なるほど満室なんだな。御家族、カップル、その他。総勢18名である。そうそう、他に外にお食事に行っているお客様もいるようである。 さてさて、夕ごはん。ビールを2本頼む(キリン・ハートランド)。WEBサイトでは、和洋折衷と出ているが、その通りである。一言でいうと家庭料理だ。特別なお料理ではないけれども、おいしく作ってある。海沿いの宿なので、ちゃんとお刺身も出てくる。なんというかキチンとおもてなしを受けているという感じがする。僕はペンション初体験なので他は知らないけれども、おいしくて楽しかった。 メインはビーフシチューだった。ちゃんとやわらかく煮てある。美味しかった(因みに時と場合によってメニューは変わるようである。バードランドに宿泊した様子を書いてある個人のWEBサイトがいくつかあるのだが、そのうちの1つでは、ロールキャベツだったという記録がある)。 つくられているのはオーナーさんの奥様だと思う。これだけちゃんとおいしくゴハンを食べさせてもらえれば、満足だ。 もし、パスタを作ってもらったらとてもおいしいと思う。ほら、男女問わず、プロではないけれど、パスタが上手い人って周りにいると思うけれど、そういう人って基本的に料理が上手い人が多いと思う。そういう人がゴハンをつくると家庭料理だけどおいしいお食事になると思う。バードランドの夕ごはんは、そういうお食事です。だからおいしい。 もし、せっかく旅行に来たのだから地元の幸をがっちりと食べたいということなら、オーナーさんに申し出て、お外で食事をする旨を伝えればよいと思う。それも楽しいからな。帰りはタクシーで宿まで戻ればよろしい。 逆に、夜はお酒を飲みながら、気持ちよく波の音とリラックスを求めるなら、こちらでごゆっくりしていただくとよいと思う。安いしね。 夕食後、シャワーを浴び、一杯やりに、食堂に行く。男性が3人、居間で一杯やりながらサーフィンのビデオを見ている。 僕ら夫婦は食堂のテーブルに座り、僕はスコッチ(バランタイン)をロックで、妻はジン(ボンベイ・サファイア)をストレートで(チェイサーつき)いただく。 やがて、バーカウンターに常連のお客さんがつき、オーナーさんと話をしている。 お客さん:「夜は消灯が何時だから電気を消せとか、そういうことをガタガタ言わないペンションってここぐらいよ」 オーナー:「ほら、うちはそういうのが無いのが売りになっちゃったから・・・・・」 僕らは、何をしていたのだろうか、よく飲んだ。食堂にある、これまたJBLのスピーカーで自分の持っているCDをかけさせていただいた。Mat Dennis のライブ盤とGrover Washington Jr. の 「All My tomorrows」である。 22:30ごろに部屋に戻り。寝る。 |
右:建物の中。「 潮風王国 」のサイトをごらんになっていただければ判るが、なかなか充実してるぞ。
右:ゲストルームからの眺め。朝、起きたら海が見える部屋。
右:ビールを1本。ホッと一息。
左下:バルコニーから食堂。ほら建物の色づかいがなかなか良いでしょ。 右下:猫。名前は何というのだろう。媚びることも無く、いなくなることもなく、そこにいる。
右:部屋の夜の眺め。写真が小さいね。 |