home profile oldlogs rss2.0
【ライブのお知らせ】
5/26 (sun) 19:00-
経堂・音楽酒場「PICK」
http://members3.jcom.home.ne.jp/pick/
ご近所ベーシスト、安田氏のバンドでのライブです。スタンダードを中心に1曲だけバンドのオリジナル曲も。フライヤーはこちら。
「川口園」は山梨県甲州市、勝沼にあるブドウ農家が営む民宿です。
川口園
http://katsunuma.net/minshuku/kawaguchien/
同じ甲州市内に「ぶどうの丘」という、人気があって取るのが難しい市営のホテルがあるのですが、そこについて調べている時に見つけました。あの一帯には葡萄園が営む民宿やペンションがいくつかあります。民宿組合のサイトhttp://katsunuma.net/minshuku/
この宿に泊まろうと思ったきっかけは前回書いた通りですが、躊躇していた理由もあります。民宿やペンションは安価でアットホームな良さがありますが、星の数ほどあるため、当たり外れもあります。しかしこの宿は間違いなく"当り"でした。楽天トラベルでの口コミで星が4.82ついていますが、それぐらいの星の宿は多数あっても、120件以上あるクチコミでこの星を維持しているのはすごいと思います。
数字での説明はさておき、良い宿だと感心したところは、とにかく客人に良い時間をすごしてもらおうというところでした。旅行の宿泊先というと、眺めのいい大きなお風呂だったり、豪華な食事であったり、、、、、概ねそういったものがウリですが、川口園ではあるものを最大限に生かしたもてなしがありました。眺めのいいお風呂や食事が豪華であっても、部屋がアメニティがあまりきれいでなければ、やや諦めたりしますが、眺めのいい大きなお風呂や手の込んだ懐石料理が無いだけで、清潔な部屋があり(むしろ快適!)、地産の食材を生かした食事があり(美味しい!)、正直、利用前に心配だったのはそこだったのですが、泊まってよかったと思います。ていうかまた泊まりたい。
これはチェックアウト時に撮ったものですが、葡萄棚の下に駐車場があり、その向こうに見えるのが母屋です。朝なので南アルプスが見えます。
部屋のベランダより。
土地に醸造技術があるので一杯目は地ビールを選ぶ。
宿でどういう食事が出るかは既に多数の方がウェブ上にアップされているので割愛。
僕がここに泊まったのは、この土地と酒の関係を直に体験するのが目的だったのですが、たった一回ですべてを知るのは難しいですけれど、それでも分かったことがあります。
例えば日本酒は、(酒造好適米というのもありますが)基本的に米と水があればどこでも作れます。しかしブドウはそういうわけにはいかず、作られている土地が限られています。
ブドウが育つ環境というのは、日当たりのある水はけが良い土地が条件ですが、日本ではブドウが最もよく育つ6月が梅雨であるため、瑞々しいけれど、ワインに向いた糖度が高く酸味のあるブドウが作りにくいという条件もあります。
しかし、それがこの土地のワインを特徴付けているということがわかりました。海外のワインのように豊かな香りや酸味が無くても、水のようにしなやかだけれどキレやコシがあり、辛口の力強い酒です。そんな酒、飲んだことありますよね。日本酒にとても近い。
いつか、日本酒の本で、杜氏がどういった食事が好きかというアンケート結果について書いてあるものを読んだことがありますが、それはことごとく和食であり、土地の食事であったと記憶しています。同じことが、日本のワイン醸造で起こっているのではないかと思いました。ワインの体をしたれっきとした日本の酒であると。
夕食の献立では鮎の塩焼きが出ました。清純な姿をしながら荒い性質をもった川魚の脂分を、酸味が無い酒精を含んだ果実の糸で味覚の形を整えて、旅行者の心を捉えます。
また、宿ではゴハンがお代わり自由なのですが、食卓に漬物もあるわけで、もしやと漬物を肴に甲州種の白を口に含めば、僕が知ろうとしたことが全くの体験になって現れました。この土地で漬けられた野菜すべてが同じレシピではないでしょうが、恵みが得られることの原始的な喜びが、東京から車で2時間もかからない土地で、体の奥底から湧き上がります。特にアウトドアに触れなくても。
食後、他の客人が去った食堂で、葡蘭酎を少し飲み、
部屋に戻り、出窓に上って、またたく夜景を眺める。
最大5組のプレミア宿。
oldsite(-2007/09/03) oldblog(2007/09/03-2010)