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千歳烏山「RAGTIME」にて (2009/01/23)

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まるで補講のようにクラシック音楽の歴史を書いてみる

2012/02/14 20:37

小中学校の音楽の時間がつまらなかった人も多いと思うので、大人になって音楽をやっている人のために補完的に西洋音楽 (=クラシック音楽) の歴史を社会的な角度から書いてみる。

・西洋の音楽のスタート地点はキリスト教の宗教音楽。
・司祭や僧侶とった宗教家は各地域を統治していた王様と密接に関係していた。
 ※教会と王様が関係していたのはヨーロッパに限らない。
・王様は城内で宗教曲を演奏させた。また教会側も王様の加護を得て宗教曲を演奏した。もちろん、こういうことは王様だけでなく王侯貴族みんなそうだった。

・王侯貴族は城内スタッフとして音楽家 (当時は演奏家と音楽家の区別はあまりなかったようだ) を召抱えていたわけだけど、彼らを宗教曲演奏以外にも使うようになった。同盟国要人を呼んだパーティでの音楽、式典での景気のいい音楽、個人的な気晴らしのためのオペラ上演などなど。
・こういった音楽家達が宮廷音楽家と言われる人々で、バッハとかヘンデル、ハイドン、ハイドン、モーツァルト、みんなそう。バッハはミサ曲を大量に書いているし、ヘンデルの「水上の音楽」は式典の音楽。交響曲も元々はパーティでの伴奏音楽が発祥。
・音楽家達は王侯貴族に給料を貰いながら作曲をしていたわけだが、同時に音楽技法についても研究をした (新しい音楽、高度な技術は食う為の生命線)。またこれらの技法は楽譜という形で多くの同業者に横展開されていった。対位法とか和声法とか。フーガとかソナタ形式とか。曲の貸し借りも実際にあった。

・しかし音楽家達は雇われ者という立場に変わりが無かったため、雇い主に気を使うのが嫌になって宮廷音楽家をやめて、フリーの作曲家になる人もいた。例えばモーツァルトもその一人。バカのキゲンを取るよりヤリたいことヤラせろみたいな。
・また市民の中には商人として大儲けする人も出てきて、流行の作曲家に仕事を依頼をするような人も出てきた。
・市民中心の音楽会もイベントとして催されるようになった。ベートーヴェンの「運命」や「田園」はこういう音楽会でリリースされた曲。

・この頃、今で言う大衆音楽的なものがあったのかというと、例えば酒場で演奏されるダンス音楽とか民謡的なものがあった。旅芸人がフィドル (バイオリンみたいなもの) や木製の笛で演奏したり、肉屋の娘が歌が上手くてコミュニティでのアイドルだったり。
・そういう酒場で飲み食いをしていた音楽家が多かったから、その場で作曲をして流しのミュージシャンにプレイさせたりしたとの予測 (モーツァルトのそういう曲が無いか本気で探してる音楽学者とかいるらしい)。いずれにしろそういう形で、王侯貴族だけのものだった音楽技法が階級を越えていく。

・ここでピックアップされる作曲家はベートーヴェン。ベートーヴェンは宮廷音楽家にならず、終生、市民の立場で作曲をしていたから、メシの種とはいえ音楽に芸術としての意味をこめていた。例えば先の「田園」は自身が感じた自然賛美を音楽にしたものだし、「フィデリオ」というオペラは夫婦愛だし、第九には世界平和への願いがこめられている。
・ベートーヴェンは一生独身で身なりも汚く「汚物っぽい熊」みたいなニックネームがあったそうだが、作ってる音楽の志が高いものだから、どの他の作曲家よりも尊敬されていたらしい。もちろん音楽を志す人の憧れでもあった。
・ベートーヴェンは本当に影響力がある存在だったわけだが、これは音楽がメシの種である以上に個人の表現手段である実例にもなった。また産業技術が発展してピアノが今の形になり、作曲技法や演奏技法が確立してきたのもこの頃。

・となると民謡っぽいものよりも凝った音楽を作り始める人が出現しはじめる。シューベルトとかシューマンとかメンデルスゾーンとか。
・メンデルスゾーンは市民階級だけど金持ちのボンボンだから私設オーケストラを持ってて、自分の曲以外にベートーヴェンとかバッハとか、今でもよく知られた作曲家の音楽を演りまくる。
・シューマンはピアノ演奏技術を磨く他に新聞に音楽批評を書いたりして啓蒙している。
・シューベルトは彼らよりやや先輩で若く亡くなったけど、こういう人たちに発掘された優秀な作曲家の一人。

・なお年代的には 1700 年代後半〜1800 年代中盤がこの頃にあたる。で、産業革命っていつだっけ?と調べてみたらほぼ時代が一致する。ますますお金も回るし、楽器製造の技術も高くなり木管楽器や金管楽器等が今の形に決まり始めるのもこの頃。新しい音が出る楽器が出れば使いたくなるし、改良されて今までに無いプレイもできるようになる。

・これ以降の音楽史はあえて書かない。レコード技術やラジオ放送が出てくるまで、クラシック音楽の発展のベクトルは作曲技法発展の方向を指し続けることになるから。シェーンベルクの十二音技法とかあるけどサブカルだと思う。
・クラシック音楽というカルチャーの中でカウンターとそうでないのを書いても今回は範囲外。ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の冒頭のサウンドが大変な衝撃となり当時の音楽界が真っ二つになったとか書いてもクラヲタの域を出ず、今回の意図からは外れる。気が向いたり、要望があれば書くかも。



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